御山谷報告(沢登り)
=赤布ナシ、踏み跡ナシ、大滝ナシ、瀞場ナシ、イワナ有り=
8月24日~25日
メンバー:T本L、H野、A部(幹)、T田、T田Y恵(会員外)
前週の8月17日~18日で行く予定だったが、台風で頓挫し今週に順延となった。 秋雨前線の影響で前日まで雨が降り、増水が心配されたがダメもとで決行することに。 入渓出来なければイワナ釣りとY恵さんを除く全員が竿持参の山行となった。
8月24日(曇りのち晴れ)
扇沢7:30ー黒部ダム7:46ー御山谷出合9:10ーテン場1,800m15:30
7:30始発の電気バスに乗り、黒部ダムへ。(今年4月からトロリーバスから電気バスへと新しくなった) ダムは秋の気配、肌寒い。15℃くらいか、下界の猛暑に慣れた体には気温以上に寒く感じる。 ダムから1時間ほど湖岸を歩いた小さな丸太橋が御山谷出合。 前日までの降雨により、水量も多く流れも早い様に見えるが水は黒部の沢らしく透き通っている。 リスクを感じるようなら、引き返すという条件付きで遡行を開始。 今回の山行のテーマは沢中の焚き火と岩魚釣り。 30分ほど遡ったイワナが居そうなところでH野さん、A部さん、T田さんが竿を出す。 ポイントを探しながら遡ると、H野さんが黒部源流の尺イワナを釣り上げる。続いてA部さん、T田さんが20cmほどのイワナを釣り上げる。 A部さんはイワナの取り込みに手間取り残念ながら逃してしまうが、今晩の酒のアテが出来たので釣りは終了。 流れも早く渡渉にややリスクを感じるので遡行を止めるか続けるか迷うが、イケイケ長老H氏の「行きましょう」の一言で進むことに。 沢は広く明るく傾斜も緩い為、圧迫感は無い。気分的に安心感がある。3m~5mの滝が連続して現れるが、登れそうも無い滝は簡単に滝の脇を高巻き出来る。流れが 早く渡渉に気を使うが、最大、膝程度なのでバランスを崩さないように慎重に渡る。 徐々に高度を上げるが一向に水量が減る様子がない。崩壊した雪渓を慎重に渡りテン場として予定していた1,800mに着いたのは15:30。思った以上に時間が掛か ったのも水量の多さによるものだろう。さて、テン場を探すが優良物件はなかなか見つからない。前にテン場として使った形跡も見当たらない。1時間ほどウロウロ して河原から3mほど上がった台地の1m程の高さに生い繁った草むらをノコギリで切り開き、なんとか3張りのテントを張り終えたのは16:30を過ぎていた。目の 前には巨大な雪渓と沢に架かるスノーブリッジが見える。雪渓を下りてくる風が冷たい。さて、宴はイワナのムニエルやイワナが釣れなかった時のシャレとして持っ てきたサンマの一夜干しなどなど….。 盛大な焚き火を囲んで楽しい夜は過ぎて行った。
8月25日(晴れ)
テン場7:00ー1ノ越12:00ー室堂12:40//13:00-アルペンルート-扇沢14:20 明け方に一雨あり心配したが、朝から天気は良さそうだ。 御山谷はカール状の圏谷。そこに雨に侵食され沢が出来た。 氷河の残した大岩だらけのゴーロ帯の沢を遡行するのは思いの外、時間がかかる。1,900mまでの100mを登るのに1時間ほど掛かった。 水量は大分少なくなってきたがまだ涸れる様子はない。2,000mを過ぎた辺りから沢は細くなり沢心に覆いかぶさるダテカンバの藪漕ぎに悪戦苦闘する。 大岩に挟まれたダテカンバのバリケードを突破すると森林限界を過ぎ、一面にチングルマの綿毛が広がる御花畑と1ノ越山荘が遥か先に見えた。 広大な谷の左は鬼岳、竜王岳、右には雄山が。御山谷の源頭部は期待にたがわず素晴らしいロケーションが広がっていた。 まったく踏み跡も無い御花畑とガレ場を交互に踏みしめながら2,600m付近で1ノ越と東1ノ越をつなぐ登山道に合流。 登山者で混雑する1ノ越山荘前をやり過ごし室堂ターミナルへ。全員疲れ切って、黒部平まで歩いて下山する元気はなかった。 御山谷は素晴らしい谷でした。 赤布も踏み跡も無い原始の姿が残された谷を遡行出来た事に大満足です。 沢登りで標高差1,250mは流石に登り応えがありました。 ロープは持って行きましたが一度も使うことはありませんでした。
次はこの広大で緩やかな谷をスキーで滑りたいと思います。