【報告】
日時:12月1日(土)~3日(月)
地域:陸中野田~田野畑
メンバー:FA、FM
内容:2年前にこのトレイルの北の出発地点である蕪島から久慈まで歩いたが、今回はFMと2人で陸中野田から田野畑まで歩いてきた。季節的には遅いかと危惧していたのだが、天候に恵まれたのでむしろちょうどよい時期だったと言えそうだ。そして何より「大人の休日倶楽部パス」を活用したので格安の旅となった。
1日朝、東北新幹線で八戸へ。そこからJR八戸線で久慈、さらに三陸鉄道(三鉄)に乗り継いで陸中野田に昼頃到着した。盛岡では雪が降り積もっていたし、八戸線に乗ってからも氷雨や霰が降っていたのでやはり時期的に遅かったのかと心配になった。しかし、だんだんと天気は良くなり、久慈に近づくにつれ天気が良くなってきたので一安心した。
薄日の指す野田の町を出てから最初は国道45号を歩き、多少のショートカットをしたこともあり、予想外に順調に進むことができたので予定より先まで行けそうな目途がついた。そこで、満室のはずの国民宿舎「えぼし荘」にダメモトで電話をしてみたところ運よく泊まれることになったので、途中の駅から引き返して素泊まりで泊まることにしていた久慈の三船旅館はキャンセルした。
その後は山側の未舗装のなだらかな林道歩きになった。葉の落ちた林の中一面にシイタケ栽培がおこなわれていた。このあたりの特産品なのだろうか。やはり気温は低いので道の日陰では氷が張っているところもあり霰もぱらついてきたが、順調にえぼし荘に到着した。ここには近所の復興住宅と思しき家から温泉に入りに来ている人達がいた。
<陸中野田駅発12:45~野田玉川駅付近14:05/15~えぼし荘着15:50>
2日はバイキングの朝食を腹いっぱい食べてから良い天気の中を出発。三鉄の絶景ポイントとして有名な安家川橋梁を見上げながら国道を歩いたのちは海岸沿いの里道歩き。沢川河口の細い流れを石伝いに渡った後は笹丈が高くて道迷いをしやすいところだそうだが、枯れているので難なく歩くことができた。また、久しぶりに霜柱を踏んで歩くのは気持ちの良いものだ。
白井集落の近くですれ違った車に乗った地元のオジサンとしばらく話しこんだ。彼が言うにはその先のトレイルはかなり荒れているとのことだった。そこで白井漁港まで下った後は里道とよく整備された仕事道に迂回して普代の町に向かうことにした。普代駅の待合室で持参のチョコバーなどの行動食をザックから取り出したところ、出張販売中の駅前の寿司屋が売り込みに来たので行動食は再びしまい込んで美味しい寿司を食した。
その後はその巨大さゆえに全ての村人を津波から守ったという普代水門を見てから、海沿いのネダリ浜自然歩道を通るなどして、予め予約しておいた国民宿舎「くろさき荘」に到着。近くには灯台や北緯40度の記念碑などもあった。歩く者もほとんどいない11月と12月前半限定の「潮風トレイル応援パック」なる宿泊プランなので夕食時には生酒のサービスがついた。実際、この3日間、トレイルを歩く者とは一人も会わなかった。
<えぼし荘発8:05~白井海岸10:15~普代駅11:35/12:05~ネダリ浜休憩所
13:35/40~くろさき荘着14:50>
3日もバイキング朝食。今日は標高150m前後のところをリアス式海岸の凸凹に合わせるようにあまりアップダウンせずにトラバースする良く整備された道を歩く。昨日に続き晴れてはいるが、当然のことながら気温も低いのでのども乾かずに快適だ。まだ紅葉している部分もあるが、葉が落ちているので海を望め、落ち葉を踏みしめての気持ちの良い歩きだ。トレイルの両側の森林も良く手入れがされていることに感心した。
薄暗い沢道を下ったところで観光地として有名な北山崎に着いた。この先は海岸近くまでの階段の昇り降りがあって時間がかかるので県道を経由して割愛した。こちらの道はまさにイーハトーブの景観で癒される。迂回した後、本来のトレイルに戻るとそこは海岸の崖上だ。海側に足を踏み外したら助かるまい。徐々に高度を下げ、海岸に出て手堀りのトンネルを二つ抜けると、かつては栄えていた番屋の建ち並ぶ机浜に出た。津波で流されてしまったが再建し、今はNPO法人によって漁船のクルーズを行うなどしているそうだ。西側に山が迫っているので2時を過ぎると薄暗くなってきてしまう中、目的地の田野畑駅に着いた。
そこから三鉄で久慈に戻って旅館に泊まり、3日間、約50㎞の歩き旅を終了とした。
<くろさき荘発8:00~北山崎11:35/12:00~手掘りトンネル入り口13:15/20~
机浜14:10/20~田野畑駅着15:40>
4日は予想に反して天気は悪くならなかったが、そのまま八戸に出て帰京した。
実は二月ほど前に三鉄震災学習列車という震災の話を三鉄の社員に聞きながら乗車する機会があったのだが、鉄道ではトンネルが多く海を見られるところは限られていた。しかし今回は海を眺めながら、あるいは逆に三鉄を見ながらの歩きになった。
山登りの時は「山に登るための道」を歩くが、今回のように「生活(仕事)のための道」を歩くことは違った面白さがあると改めて感じた。帰京した翌々日、Bunkamuraで開催中の絵画展「ロマンティックロシア」を観た際、そこにあった風景画に既視感を覚えた。もちろんロシアの広大な大地とみちのくトレイルでは比べるべくもないが、両者に共通する「道」の持つ魅力について考えさせられた。
前述の通り章にとっては2回目、FMにとっては初めてのみちのく潮風トレイル歩きだったが、また別の区間を歩いてみたいと考えている。
以上