山域:北アルプス南部/横尾本谷右俣
日程:5/19(金)~21(日)
山行形態:山スキー
メンバー:T本(L),H野(SL),H瀬,A部(M),I松(記)
行動概要:
・5/19(金):上高地0630~0935横尾(テント設営)1110~1350横尾本谷二俣(※偵察)~1520横尾(泊)
※後発のH瀬,I松は途中合流
・20(土):横尾0535~0645本谷橋~0800横尾本谷二俣~1110横尾尾根H2,700コル1200~1225二俣~1240本谷橋~1400横尾(泊)
・21(日):横尾0630~0920上高地
「横尾をBCとして、横尾本谷を登り、右岸に左俣を分け横尾尾根H2,700mコルに登り上げるという、T本さんが5年間温めてきた首記ツアーに参加させていただきました。時期としては、雪崩も落ち着き、天候的にも安定する5月中旬以降と定め、偵察含めて入・下山に一日、中日往復の予定で上記日程となりました。
リーダの積年の思いが通じたのか、山の神様のご加護もあり、晴天に恵まれてとても快適な残雪期ツアーとなりました。
以下に、三日間の報告を記します。」
【5/19(金) 快晴】当日未明発の両名は沢渡で始発から3本目のバスに乗車し、前夜発の先発隊の後を追う。上高地からは、新緑の目映い梓川河畔を明神・徳沢から横尾へと歩を進めるが、兼用靴を含めた装備一式がずしりと肩に食い込む。
夏のような陽気の中、漸く辿り着いた横尾では会のエスパースに目が留まるが、既
に泊り道具他をデポして、明日の偵察に出発した様子。先発隊に倣って、ここからは兼用靴に履き替え、吊橋を渡って横尾谷に沿った夏道を進む。
ところどころ雪も現れ始め、横尾尾根第3ガリー付近からは、次第に雪上を歩く時間
が長くなり、本谷橋から先は谷も完全に雪に覆われるようになり、シール登行に切替える。
小一時間登った本谷二俣下で、二俣付近より滑走してきた3名と合流がかない、デブ
リ跡を避けながら本谷橋に滑り込む。再び往路を横尾に戻り、シール等を乾かしつつ、明日の前祝を兼ねてビールで乾杯。
今晩のメニューは、海草と大根菜・雑穀サラダ、レバニラ炒め、鶏ガラベースの野菜たっぷり鍋、大根菜とゆかりご飯。
【20(土) 快晴】翌朝は4時に起床し、豚の角煮入り豪華版ラーメンを腹に収め、件のルートに出発。
本谷二俣までは昨日の復習。大切戸へと突き上げる左俣は、右俣に比べやや幅が狭いが直線的ですっきりした印象。高度を上げるにつれ、背後の前穂北尾根の眺望も少しづつ開けてくる。
更に1ピッチのやや急な登りを凌ぐと一旦斜度も緩み、西を南岳他の北ア主脈、北と北東側を横尾尾根に囲まれた、涸沢を思わせる開放的で気持ちの良い台地状に到る。
ここからコルまでは、最後のお勤めとなる標高差300mあまりの急登。途中、アイゼンに宗旨替えした4名に対し、H野さんは一人コルまでスキーで登り上げる。
コルからは一気に北側の眺望が開け、周囲を圧するが如くに聳え立つ黒々とした槍ヶ岳の威容が一際目を惹く。眼下の天狗原や槍沢を隔てて対峙する長大な東鎌尾根や、南側の前穂から屏風の頭に到る北尾根のスカイラインもとても印象的。
大休止の後は、T本リーダを先頭に右俣へと滑り込む。出だしはかなりの急斜面で緊張するが、雪は適度に緩んだザラメ状で快適。沢地形となった後も、デブリを避けながら順調に高度を下げ、約1時間で本谷橋に到る。
ここからは、また長い道程。はじめのうちは、横尾谷を滑った余韻に浸りながら歩を進めるが、夏のような陽気もあり、次第にビールが眼前にチラつきはじめ、煩悩に押し潰されそうになった頃、漸くBCに帰還。
今日も大物干し大会の後、右俣滑走を祝して乾杯。
本日のメニューは、焼き鳥、地鶏の香草焼き、ソーセージ・厚切りベーコン&ズッキーニ・エリンギ、卵雑炊。美味しい料理にワインもすすみ、売店の冷蔵庫は完売状態。
横尾本谷二俣(中央は大切戸に突き上げる左俣,右側は今回のルートとなる右俣)
【21(日) 快晴】
5時に起床し、野菜たっぷりラーメンをいただき、三日間お世話になったBC撤収。
上高地に下山。
「入下山日含めて雲一つない晴天に恵まれて、素晴らしいルートの滑走、梓川河畔の新緑と蒼空に映える岩と雪の大展望、美酒・美食に彩られた快適BCと、三拍子揃った残雪期ツアーとなりました。
下見含めて計画立案からツアーを統括いただきましたT本リーダはじめ、参加の皆様、有難うございました。」